新人アパレル企画担当・MD向け【ビーカー(生地色)チェックは自席で行うべからず!色合わせで失敗しない方法】

型紙を引く姿 FASHION / APPAREL
写真ACの画像を使用

ファッションにおいて色って大事な要素ですよね!

こんにちは、アパレル業界6年目のTomoです。

新人アパレルの企画担当の皆さん

職場にも慣れてきたころに、先輩から

「ビーカー上がってきたからチェックしておいて。」

なんて指示を受けることがあるかと思います。

「・・・ビーカーって何?」

「何をチェックするの?」

となってしまわないように、今回は「色合わせ」について書いていきます。

・ビーカーとは「試し染めした生地サンプル」のこと

・色は光の反射によって知覚される=光によって見え方が変わってしまう

・標準光源だけではなく、シチュエーションを想定して色々な光の下でチェックする

・最後は他人の目

ビーカーとは「試し染めした生地サンプル」のこと

まず、ビーカーとは何か、というところから始めていきます。

ビーカーとは、こちらから渡した色見本に合わせて、試し染めした生地サンプルのことを指します。

本番で使うような大きな窯ではなく、試験用のビーカーで染めるためビーカーと呼びます。

会社によるかと思いますが、3パターン程度のサンプルから提出した色見本に近いものを選ぶことになります。

すべてが該当しない場合には、再度染め直しということになります。

色は光の反射によって知覚される=光によって見え方が変わってしまう

ビーカーの意味が分かったところで、さっそくチェックをしていきたいのですが、チェックを行う場所が重要です。

人間の瞳は、ある特定の波長の光を「赤」、「青」といった形で認識しています。

つまり、色のチェックをする際には「光」がとても重要なのです!

染色した人が確認する周りの環境と、チェックする人が確認するときの周りの環境が異なっていたら違う色に見えるのは当然ですよね?

そういったズレを防ぐために「標準光源」というものが存在します。

国際照明委員会(http://cie.co.at/)という団体が定めているもので、D65という光源の下でチェックすることが一般的とされています。

「いや、そんなものうちの会社には無いよ!」

という方のために、以下では標準光源が無い場合でも、どういったことに気をつけて色合わせをしていけば良いのかということを説明します。

標準光源だけではなく、シチュエーションを想定して色々な光の下でチェックする

周囲の光の状況よって色が異なって見える現象には名前がついています。

現場ではあまり聞くことはありませんが、知識として書いておきます。(興味が無い人は飛ばしてください!)

光の種類が変わることによって、色が変わって見えてしまうことを「演色性」と呼びます。

お店で試着したときには真っ黒に見えたのに、外の日差しの下で着てみたら茶色っぽく見えた・・・なんて経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、ある光の下では同じ色に見えるのに、別の光の下では違う色に見える現象には「メタメリズム(条件等色)」なんて名前がついています。

自分の席でビーカーと色見本を見たら同じ色に見えたのに、後ろに窓があって日光が入ってくる先輩の席で見たら全然違う色に見えて「全然違うじゃねーかよ」と言われてしまった泣、なんてことはこの現象によるものです。

普段の業務ではなじみのない言葉ですが、TES(繊維製品品質管理士)の取得を考えている方は覚えておくとよいかもしれません。

TESに関しては以下の記事を参照

さて、本題に戻りますが、上記のような現象が起きてしまうことは避けられません。

どんな光の下で見ても同じ色に見える生地など存在しません。

であれば、「どのシチュエーションで一番意図した色に見せたいか」を考えることがひとつの解決策になるかと思います。

外の日差しの下なのか、お店のディスプレイなのか、一般的な室内なのか・・・

その服や小物が綺麗に見えてほしいシチュエーションをイメージして色合わせをすることで、企画意図とのズレは小さくなります。

※もちろん他の企画者の方と意見をすり合わせていることが前提です。

標準光源が無い場合は(ある場合も)、「強い蛍光灯の光の下」「淡い木漏れ日の下」「自然光が入らない室内」「強い日差しの下」など、

色々なシチュエーションでビーカーと色見本とを見比べて、総合的に判断することが企画意図と近い色合わせをするコツだと思います。

結局一人の目だけでは信用できない。

人体というのは本当に不思議なもので、人の瞳はどんな高性能なカメラよりも優れているといわれています。

なのに色の感じ方は人それぞれなんですよね笑

ビーカーチェックをお願いされたのであれば、一通り確認したのち、「日光の下と蛍光灯の下と暗い場所で確認したところ、Bのビーカーが色見本に近いと思うのですがいかがでしょうか?」

といった形で、チェックした内容を伝えた上で、最終的には先輩やほかの企画者にも一緒にチェックしてもらうと良いでしょう。

ただし、色々な人がチェックした結果、意見が割れてしまって決まらない・・・なんてことが無いように最終決定者が誰なのかは最初に決めておくとよいと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか?

使用する繊維の種類や、生地の組織、染料の種類によっても光を変えたときの色の見え方の違いは大きく異なります。

なので、少しの手間だからといって、惜しまずに時間をかけて色合わせを行うことをおススメします!

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