
ホールガーメントって何が良いの?
こんにちは。
アパレル業界6年目のTomoです。
今回はホールガーメントのメリット・デメリットと、今後需要が伸びると思われる理由を3つ挙げてお話していきたいと思います。
ホールガーメントとは
ホールガーメントとは、長方形のシートの形で生地を編み立てたり、パーツごとに成形したりせずに、whole=全体 garment=衣服という名前の通り、無縫製で製品の形に編み立てる製法を指します。
メリット
- ・糸ロス率が低い(1%程度)
- ・縫いどまりなく、生地のストレッチを活かせる
- ・脇、肩に縫い代がないため、ごろつきがない
- ・製品ロットが小さい、1着から作れる
ホールガーメントは生地を裁断することが無いため、糸ロス率が低いのが特徴です。
また、縫製することで縫い糸で生地のストレッチが止まってしまうのですが、ホールガーメントは縫製されていないため、生地本来のストレッチが活かされます。
縫製が無い=縫い代が無いため、ごろつきがなく着心地が良いのも特徴です。
また、生地を50メートル編んで、それを裁断・縫製するわけではないので、最低1着から製品をつくることができるという特徴もあります。
デメリット
- ・単純なシート状に編むより編み立てに時間がかかる
- ・表現できないデザインもある
- ・単価が高い
デメリットとしては、生産リードタイムが長い、という点が挙げられます。
単純にシート状に生地を編み立てるのと違い、製品の形に目を増減するため手間がかかります。
また、2020年時点ではまだまだ表現できないデザインもあり、パーツを縫製するよりもまだ単価は高いのが実情です。
ホールガーメントが伸びる4つの理由
環境への配慮
最近では、多くのニュースでも報道されているため、認知が広がってきていますが、繊維業界は「世界で2番目の環境汚染産業」と言われています。
二酸化炭素排出量は全産業の10%を占め、染色などの工程で大量の水を使用しています。
そういった報道もあり、アパレル各社は環境に考慮した製品づくり、ビジネスモデルに取り組むようになってきています。
ホールガーメントは糸ロス率が低い=ゴミが出ないため、裁断・縫製を伴う製法に比べると環境負荷が小さいと言えます。
またSNSの普及により、環境に考慮した製品づくりをし、それを積極的に発信している企業・ブランドが選ばれる世の中になってきているのもホールガーメントの普及を後押しすると思います。
世界的な縫製工賃の上昇
現状では、ホールガーメントで1着製造するよりも、生地の形もしくは、半成形で編み立てて、縫製するほうが製品に仕上げた時の単価は安くなっています。
しかし、今後はホールガーメントの機械の生産効率が高まることで、製品単価が下がっていく一方で、人が縫う縫製工賃は上昇していくと考えられます。
中国に縫製工場が集中していた時代は終わり、ベトナムやバングラディシュなど人件費の安い地域に移動しています。
今後アジア、アフリカ、南アメリカの国でも今後経済成長に伴い、人件費が上昇することは確実であるため、ホールガーメントでの製造と製品単価が並ぶ時期がそう遠くない将来来ると思います。
ホールガーメント機械の進歩
上記で述べたようにホールガーメントの機械はまだまだ進化の途中にあります。
生産リードタイムがかかる、製品単価も高い、デザインによっては表現できないものもある、といった形でまだまだ、ホールガーメントを選択できない理由があるかと思います。
しかし、今後は機械の進歩によってそれらの問題も解決されていくと思われます。
服づくりの民主化
ホールガーメントは生地ロットに左右されずにモノづくりができるという特徴があります。
近年SNSの普及により、個人がインフルエンサーとして発信力を持つようになっています。
その結果、個人がブランドを持ったり、衣服をプロデュースする=服づくりの民主化が進んできている、今後も進んでいくと思っています。
そうした中で小ロットでの製品づくりができる生産方法は今後伸びしろが大きいと思います。
最後に
昨今のアパレル業界が抱える環境負荷問題、そして大企業だけではなく個人にも服づくりへの門戸が開けてきている中でホールガーメントだけではなく、ロスが少なく、製造ロットが小さい生産方法が選ばれていくのではないか、と思っています。
どの企業も(自分も含めて)5年、10年先を見据えて色々な製造方法を勉強して、選択していかなければいけないなと思います。
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