ファッションワールド東京2019秋 セミナーの要約と感想その1-「ささげ作業」効率化のための自動撮影-

FASHION / APPAREL
ファッションワールド東京2019の受付の様子。

2019年10月2日〜4日にかけて東京ビッグサイトにて行われたファッションワールド東京2019秋に行ってきました。

ファッションワールド東京とは

世界35ヵ国 1,050社出展!日本最大のファッション展
ファッション ワールド 東京は、アパレル、バッグ、シューズ、アクセサリーなど、あらゆるファッション商材が世界中から一堂に出展します。
「商談・受注」を目的とした展示会で、世界中から25,000名(国内:22,500名 海外:2,500名)が来場します。

ファッションワールド東京HP 「本展について」https://www.fashion-tokyo.jp/ja-jp/to-visit/about.html

ファッションワールド東京は毎年春と秋に開催されている、ファッション展です。

”「商談・受注」を目的とした”と強調されているように、出展している企業は開発中のサンプルを持ち込むのではなく、本生産の受注獲得を目的とした商品を持ち込んでいます。

当日は世界各国から多くの企業がブースを出展する。

素材・OEMメーカーだけじゃない!販促支援、在庫管理システムの展示も

こちらの展示会に出展しているのは素材メーカーやOEM企業、デザイナーだけではありません。当たり前ですが、服を生産するだけでなく、在庫管理、物流、店舗運営、販売促進活動などすべて含めてファッションビジネスです。

また、近年ではファッション業界において販売チャネルとしても、メディアとしてもWEBサービスの果たす役割が大きくなっています。

そういったサービスを提供する企業、コンサルティング企業もセミナーで講演を行ったり、ブースに出展したりしています。

私も今回はデジタルサービス検討のためにセミナーを聞きに行ってきました!

【自動撮影システム】オートリージャパン株式会社

最初のセミナーは「自動撮影システムで、商品撮影はもっと効率化・単純化できる!」と題し、オートリージャパン株式会社の東山 博哉さんが登壇されました。

重要度を増す「ささげ作業」

近年、販売チャネルにおけるECサイトの重要性が高まるとともに重要度が増しているのがいわゆる「ささげ作業」です。ささげとは「撮影」「採寸」「原稿」のことで、倉庫に商品を入荷してからECサイトに商品を陳列するために行う必要のある作業の頭文字をとってそう呼ばれています。

カメラとソフトウェアをセットで提供することでクオリティを平準化

同社はこのささげ作業における撮影を効率化するシステムを提供しています。

同社は専用のカメラ機材とそれを制御するソフトウェアをセットで提供しており、そのソフトウェアが商品を置く場所やライティングの調整、背景トリミング、ファイルのリネーム等を行ってくれるというものです。

メリットは「再現性」と「スピード」

お話を伺って、撮影をシステム化することには、作業者の負担軽減以外に、ECサイトの業績UPに対しても大きく2つのメリットがあると感じました。

1つ目は「写真の再現性」です。サイトに掲載されているそれぞれの写真のライトの当たり方、商品の角度・大きさなどが不揃いだと、お客さんに不要な「違和感」を与えてしまう可能性があります。設定を保存しておくことでいつ・誰が撮影しても同じ見えざまの写真を掲載することができるということは大きなメリットだと感じます。

2つ目は「サイト掲載のスピードUP」です。アパレルにかかわらず、家具・家電、雑貨、食品に至るまで、様々な商品が様々なサイトで取り扱われています。お客さんにとってはどこで購入しても良いわけですから、商品を入荷したら他のサイトよりも早く掲載したいですよね?営業時間の制限がなく、いつでも購入できるネットビジネスにおいて撮影時間を短縮してサイト掲載までのリードタイムを縮めることは大きなメリットだと思います。

Michael SchwarzenbergerによるPixabayからの画像

ECサイトにおいてカメラマンは不要なのか?

ではECサイトの写真においてカメラマンは不要になるのか?というと、決してそんなことはありません。

アパレル製品は機能性や品質も大切ですが、「好き」「かわいい」といった感性に訴えかける部分がやはり一番重要だと思います。そういった印象を与えるのに必要なのがモデルを使ったイメージビジュアルです。

スタジオや屋外などシチュエーションや構成を考えることももちろんですが、一番はモデルさんの表情、表現力を引き出して、ブランドの世界観を表現した一枚を撮るという部分においてプロのカメラマンさんの技術が必要となります。

システムを使う目的は「浮いた費用と時間を使って、よりクオリティの高いイメージビジュアルを撮ること」

東山さんは、自社のサービスを使うことで単なる費用と時間の削減をして欲しいのではなく、節約した費用と時間を使用してよりクオリティの高いイメージ写真を撮ること売り上げの拡大にも繋げて欲しいと述べています。

さいごに

個人的な意見になりますが、今後撮影のシステム化はECを運営していく上で必ず必要になっていくと思います。

現在はこういった作業を人の手で行っていても、実店舗よりも利益率が高いため問題ないと思いますが、ECサイトでの買い物が一般的になればなるほど、他サイトとの差別化のために広告販促の部分により人を割いていく体制に変わっていくと思われます。

ただし前述の通り、現状ではあくまでもクオリティの平準化された無機質な商品画像を効率的に撮影するシステムのため、人間の意図や想いの介在した「魅力的な写真」は別途カメラマンを雇って撮影する必要があります。

ですので、セミナーのタイトルは「自動化」となっていますが、「自動化=仕事が楽になる、コスト削減になる」と考えると期待通りの成果を上げることは難しいかもしれません。人と機械のそれぞれの得意分野を担当することで、業績UPにつなげるという考え方で導入することでシステム導入におけるミスマッチを防ぐことができると思います。

こちらの企業は御茶ノ水に撮影スタジオがあり、商品を持ち込んで実際にデモを見ることができるということでしたので、ご興味ある方は問い合わせてみると良いかもしれません。

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